遠方の相手とのトラブルにおける弁護士探し

遠隔地の相手方とのトラブル

弁護士にトラブルの解決の依頼をする相手方が遠隔地(遠方)の場合は、相手方の居住地に近い弁護士に依頼した方が良いか、自分の居住地に近い弁護士を選んだ方が良いのか迷うところです。特に、法人相手の場合、本社が東京ならば地方に居住している方は否応なく遠隔地との交渉になります。

さらに、訴訟に発展する場合は、訴訟を提起する裁判所が決められていることもありますし(これを「裁判籍」といいます)、商品トラブルやクレジット等の借金問題で相手方法人から訴えてきた場合は、契約書の合意管轄を盾に東京の裁判所で裁判が行われることになります。

最初は自分の居住地に近い弁護士に相談

基本的には、自分の居住地や勤務先に近い、もしくは自分の居住地の管轄裁判所に近い弁護士に相談した方が無難です。相談の結果、自分の居住地に近い弁護士に依頼した場合の方が反ってリスクやマイナス要因が多い場合、あるいは裁判所が法律で定められている場合は、争いのある遠隔地で弁護士を探すようにします。

自分の居住地に近い弁護士に事件の処理を依頼すべき場合

任意交渉でトラブルを解決出来る場合

まず任意交渉で解決できるトラブルの場合は、弁護士との面談打合せが容易で交通費や日当が安くつき、打合せの為に費やす時間も少なくなる、というメリットがあります。しかも、弁護士の資質に依るところが大きいものの遠隔地の弁護士よりは放置される可能性が低くなることも考えられます。

訴訟を提起するか相手方から訴えられた場合

提訴する場合は、裁判籍は相手方(被告)の住所地を管轄する裁判所に提起するのが原則ですが、弁護士の屁理屈(こじつけ)で訴えた側の住所地、すなわち自分の住所地を管轄する裁判所に起こすことが出来る場合があります。

例えば、義務履行地が自分の住所地である、相手方が法人で自分の住所地を管轄する裁判所の管轄内に支店がある、契約した覚えがない等です。

また、相手方から相手方の住所地を管轄する遠隔地の裁判所に提訴された場合も、まずは自分の居住地の管轄裁判所に近い弁護士に相談すべきです。応訴することで管轄裁判所が自分の住所地を管轄する裁判所に変更(「移送」といいます)になることが有ります。職権で移送されない場合は、弁護士の知恵を得て移送の申立を行えば認められる場合が多いです。但し、移送申立は、権利では無く裁判所の職権発動を促すきっかけに過ぎないと考えられています。
例えば、上述のように

  • 義務履行地が自分の住所地である
    金銭債権者の場合は、持参債務の原則で債権者の住所地の裁判所が管轄裁判所となります。
  • 実質的な義務履行地が自分の住所地と主張する
    貸金業者やクレジット会社の場合、契約書の合意管轄を基に業者の本店(本社)所在地を管轄する裁判所に申立てする場合がありますが、異論も有るものの次の様に対抗することも出来ます。
    口座振替、銀行振込及びATMで支払う方法の場合、債務者の住所地が義務履行地である、と主張する。
    契約書の合意管轄地の表現で「業者の本店、支店及び営業所を管轄する云々」の表現が有り、しかも自分と同じ管轄裁判所内に債権者の支店及び営業所がある場合。
  • 生活困窮のため遠隔地の裁判に出廷出来ない
    裁判に出廷出来ないことで公平な裁判を受けられない、また、憲法32条の裁判を受ける権利が妨げられる、と主張する。しかし、移送が認められなくても裁判を受ける権利を拒否するものではないとの見解・説が有力です。裁判所の裁量次第ということです。
  • 契約した覚えがない
    契約した事実がない、他人もしくは家族により名義を勝手に使われた等の場合は、管轄合意も無かったことになりますのでほとんどの場合移送が認められます。

遠隔地の弁護士に依頼せざるを得ない場合

訴えを提起する裁判所が法律で指定されている場合は、裁判所に移送の申立をしても認められませんので管轄の裁判所で争うことになります。管轄裁判所が指定されている訴訟は種々有りますが、主なものは次の通りです。

  • 不動産に関する争い
    不動産の所在地を管轄する裁判所
  • 相続及び遺留分に関する争い
    被相続人の普通裁判籍の所在地
  • 会社から社員もしくは社員であった者への訴え
    会社等の普通裁判籍の所在地

金銭的に余裕があれば、自宅や勤務先の最寄りに事務所がある弁護士でも構いませんが、意思の疎通がスムーズなるメリットがある反面、交通費や日当等の費用負担が大きいだけけでなく日程の調整が取り難く長期化する可能性があります。

一方、管轄裁判所の近くの弁護士を選任した場合は、日当、交通費等の費用負担を軽減出来るほか、調査や状況把握が容易になるプラス要因が有ります。しかし、ルーズな弁護士に依頼すると連絡手段が電話、文書及びメールに限定されるので管理やチェック力が弱くズルズル引き延ばされる可能性があります。