弁護士バッジ(弁護士記章)の瑣末な話

弁護士バッジのデザイン

弁護士バッジ右の画像は、所謂弁護士バッジと呼ばれる弁護士の身分を象徴するもので正式には、弁護士記章といいます。

パット見はパスポートの表に印刷されている十六弁一重表菊花紋に似ている様に見えます。

右下の加増がその十六弁一重表菊花紋で皇室の紋章や日本国の国章に準じて扱われる十六弁八重表菊花紋をデザイン化したものです。

それでは、弁護士バッジは何をデザイン化したものかというと、ひまわりの花です。ひまわりもキク科の植物ですがキク科ヒマワリ属に属します。一方、菊はキク科キク属に属します。同じキク科の花でも咲く時期も花の印象も大きく違います。

16弁一重表菊花紋

菊の花言葉は、色によって違いがあるものの菊全般としては「高貴」「高潔」「高尚」です、ひまわりの花言葉も色、形状、本数によって違いはあるものの全般としては「愛慕」「崇拝」、「あなただけを見つめる」等です。

弁護士バッジのデザインの規定

さて、ひまわりをモチーフとした弁護士バッジですが弁護士記章規則第一条及び別表に細かく規定されており、表面については、

意匠~16弁のひまわり草の花の中心部に秤一台を配する。
色彩~花弁の部分はは金色。中心部地色はは銀色

と定められています。
なお、裏面は

「日本弁護士連合会員章」の文字を刻し、かつ、登録番号を刻する。

とされています。

弁護士バッジの「ひまわり」と「天秤」の表す意味

「ひまわり」の表す意味

ひまわりの花は太陽に向かって大きく伸び咲くことから「自由」と「正義」を象徴しているといわれています。ただ、ひまわりの花言葉に「自由」と「正義」は有りませんし、太陽に向かって大きく伸び咲くことが「自由」と「正義」を表すというのも理解が難しいです。

ひまわりが向かう太陽こそが正義であり、また、イソップ物語の「北風と太陽」に象徴される太陽の万物に対する寛容さを求め追いかけるひまわりの姿勢が弁護士に求められる様な気がします。

余談になりますが、ひまわりを国花にしているのはペルー、ロシア及びウクライナですが
、ソフィア・ローレン主演の映画「ひまわり」の涙を誘う最後の場面の舞台となったのが世界最大のひまわりの生産量を誇るウクライナです。

「天秤」の表す意味

弁護士バッジの中心部にある天秤は、左右が水平なったときに同じ重量であることを示す道具であることから『公正と平等』を表しているとされています。

「天秤」は古来より司法・裁判の象徴

天秤は、ギリシャ神話の女神「テミス」及びローマ神話の正義の女神「ユースティティア」(英語名:Lady Justice)が剣と天秤を持っていたことから、古来から現在に至るまで司法・裁判の象徴となっています。

女神が手に持つ天秤は正邪を測る「正義」を、そして剣は「力」を象徴している。また、女神は、目隠しをしていることが多く、それは女神の前に位置する者の顔を見ないことを示し、法は貧富や権力の有無に関わらず、万人に等しく適用されるという現代の民主主義社会では当然の「法の下の平等」の法理念を表わしているとする説がある一方、目隠しをしていない 女神は、全てを見通して公正な判断を下す女神とされています。

世界中にある正義の女神の像

国際司法裁判所の紋章
国際司法裁判所の紋章

なお、正義の女神の像は、アメリカ司法省、カナダ最高裁判所等の他世界の多くの司法機関、また、国内でも最高裁判所、横浜地方検察庁、中央大学多摩キャンパス、虎ノ門法曹ビルなどにも存在しています。
また、正義の女神像は国際司法裁判所紋章にも描かれている他、女神が持つ天秤は、国際刑事裁判所の公式ロゴにも使われています。

古代神話からは天秤の象徴するところが「正義」であり、ひまわりを「正義」の象徴とするには違和感を覚えないでもないですが、定義・理念は当事者がイメージ、インパクト、好み、社会通念に照らして自由に決められるもので第三者がとやかく言うではありません。

国際刑事裁判所の公式ロゴ
国際刑事裁判所の公式ロゴ